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客先常駐でもリモートはできる。ただし「立場」で条件が変わる話


「客先常駐の仕事に就いたら、リモートワークは無理なのだろうか」

エンジニアの働き方を調べていると、この疑問に行き当たる人は多いと思います。常駐という言葉のイメージから、毎日客先に出社するものだと考えるのは自然です。

しかし、「家庭の事情・毎日満員電車での通勤が嫌」等、様々な理由でリモートワークをしたいと感じている方も多いはずです。

結論から言うと、客先常駐でもリモートワークは可能です。実際に私は、前職(SIerのプロパー社員として常駐)でも、現職(SES)でも、リモートで働く経験をしています。

ただし、そこには条件があります。しかも、その条件は自分の立場によって変わるというのが、両方を経験して分かったことです。

この記事では、リモートで働けた経験と、リモートを取り消されて出社に戻された経験の両方を踏まえて、客先常駐におけるリモートワークの実態を書きます。


目次

前提:客先常駐でリモートが可能な理由

そもそも、なぜ「常駐」なのにリモートができるのか。

常駐とは、自社ではなくクライアント企業のプロジェクトに参画して働く形態を指します。物理的にその場にいることが契約の本質ではなく、そのプロジェクトの業務に従事することが本質です。

したがって、クライアント企業がリモートワークを許容する環境であれば、常駐案件であってもリモートで働くことは可能です。

実際、私の現職では会社として基本的にリモート可の案件を取り扱う方針があり、営業からもリモート可の案件を紹介されました。

逆に言えば、所属企業がどういう案件を取ってくるかに大きく左右されるということでもあります。


経験①:プロパー社員としてリモートし、出社に戻された話

前職では、SIerのプロパー社員として客先のプロジェクトに参画していました。

あるとき、リモートワークで働く期間がありました。期間は1〜2ヶ月ほどです。

なぜ出社に戻されたのか

結論から言うと、生産性がリーダーの期待に届かなかったからです。

当時の私はチームのリーダーという役割を担っていました。メンバー全員の進捗を把握し、必要なサポートをして、全体としてスケジュール通りに進める責任があります。

これがリモートだとうまくいきませんでした。

  • メンバーの作業状況がリアルタイムで把握できない
  • サポートが必要なメンバーに気づくのが遅れる
  • 結果として、全体の進捗に遅れが出た

出社であれば、隣の席のメンバーが手を止めていればすぐに気づけます。「ちょっといいですか」と声をかけるのも一瞬です。リモートではこれができません。

正直に感じたこと

当時の私は社会人2年目でした。

2年目のエンジニアに、リーダーとしての生産性を求めるのは無理があるのではないかというのが、率直な気持ちでした。メンバーとして求められるものと、リーダーとして求められるものは大きく違います。

ただ、いま振り返ると、リモートで成立する役割と、そうでない役割があるという事実そのものは、間違っていなかったとも思います。

そしてリモートワークは信頼の上に成立すると思っています。「この人ならリモートでも作業を任せられる」と思わせる必要があると感じています。


経験②:環境を変えるためのリモートもある

もう一つ、前職でリモートになった時期があります。

このときの理由は、生産性でも働き方改革でもありませんでした。現場の人間関係の問題を回避するためです。

同じプロジェクトに参画していた他メンバーの稼働に問題があり、その分の負荷が私に集中していました。耐えかねてプロジェクトの変更を相談したところ、「まずは今のプロジェクト内で環境を変えてみよう」という判断になり、在宅勤務になりました。

期間は2ヶ月ほどです。

正直なところ、これは根本的な解決ではありません。問題そのものは残ったままで、物理的な距離を取っただけです。

ただ、現場の問題から一時的に距離を置く手段として、リモートが使われることもある。そういう側面もあるのだと知りました。

この件の背景については、別の記事に書いています。


経験③:SESとして週4リモートの案件が決まった

転職後、SESとして案件面談を受け、週4日リモート(週1日出社)の案件に参画することになりました。

現職は会社として基本的にリモート可の案件を扱う方針があり、営業から紹介される案件もリモート可のものが中心です。

週1日は会議のための出社で、それ以外はリモートでの作業になります。

案件が決まるまでの経緯については、別の記事に詳しく書いています。


分かったこと:リモートの条件は「立場」で変わる

ここまでの経験を整理すると、一つの構造が見えてきます。

リモートが許可されるかどうかは、「この人はリモートでも成果を出せる」と信頼されているかで決まります。そして、その信頼の基準は立場によって違います。

立場主に求められるものリモートの判断基準
プロパー社員マネジメント能力チームを動かし、進捗を管理できるか
SES・協力会社開発スキル任された作業を期待通りに完了できるか

私の場合、前職ではリーダーとしてマネジメントを求められ、それがリモートで満たせなかったため出社に戻されました。現職ではSESとして開発スキルを評価され、リモート前提の案件に参画できています。

同じ「客先常駐」でも、立場が変われば求められるものが変わるということです。

なぜ立場で求められるものが違うのか

これは契約形態に由来します。

SES(準委任契約)では、クライアント企業に指揮命令権がありません。そのため、常駐するエンジニアがチームのリーダーとして他社のメンバーに指示を出す立場になることは、構造上難しくなります。

結果として、リーダーなどのマネジメント役割はプロパー社員が、開発作業は協力会社のエンジニアが担うという分担になりやすいのです。

この構造については、別の記事で詳しく整理しています。


リモートに向いている人・まだ向いていない人

実際にリモートで働いてみて、向き不向きがはっきり分かれると感じました。

まだ向いていないと感じる状態

質問しないと作業が進まない段階の人

これが最大のポイントです。

リモートワークでは、質問への返信が遅い相手がいると、その間まったく作業が進みません。出社していれば、相手が離席していない限り直接声をかけられます。数秒で解決する疑問が、リモートでは数時間止まることがあります。

自走できる段階に至っていないうちは、出社した方が結果的に成長も早いと思います。

チーム全体を見る役割を担っている人

前述の通り、メンバーの状況を把握してサポートする役割は、リモートでは難易度が上がります。経験が浅いうちにこの役割をリモートで担うのは、かなり厳しいと感じました。

向いていると感じる状態

自分の担当範囲を自力で進められる人

仕様を読み解き、不明点があっても自分で調べて判断でき、必要な場面を絞って質問できる。この状態であれば、リモートでも問題なく成果を出せます。

非同期のコミュニケーションが取れる人

すぐに返信が来ない前提で、質問の仕方を工夫できるかどうかも大きいです。「これはどうすればいいですか」ではなく、「AとBで迷っていて、自分はAが良いと考えています。理由は〜です。問題ないでしょうか」と書けると、やり取りの回数が減ります。

私はやり取りの回数を極力減らす工夫として、相手が「Yes or No」で回答できる質問の仕方を意識していました。


リモート案件を狙うなら確認すべきこと

これから転職を考えていて、リモートで働きたい場合に確認すべき点を整理します。

確認項目なぜ重要か
会社として扱う案件にリモート可が多いかここが最も重要。会社の方針で決まる
リモートの頻度(フルリモートか、週何日か)完全在宅を期待していると落差がある
リモートの可否が途中で変わることはあるか私のように出社に戻される場合がある
常駐先の方針が優先されるか自社がOKでも常駐先がNGなら出社

特に1つ目が重要です。個人の希望より、所属企業がどういう案件を取ってくるかで決まります。

面接や面談の段階で、「リモート可の案件はどのくらいの割合か」を確認しておくと、入社後のギャップを減らせます。

転職先を選ぶときは、条件全体を見る

リモートの可否は重要な条件ですが、それだけで転職先を決めると、他の部分で見落としが生じます。

私は年収以外の条件(賞与、退職金制度、各種手当)を十分に確認しないまま転職し、入社後に気づくことになりました。


まとめ

客先常駐でもリモートワークは可能です。ただし、以下の条件があります。

  • 所属企業がリモート可の案件を扱っているか(これが大前提)
  • その立場で求められる成果をリモートで出せるか
  • 立場によって評価軸が違う(プロパーはマネジメント、SESは開発スキル)

私自身、リモートで働けた経験と、生産性を理由に出社に戻された経験の両方があります。

リモートは「権利」として与えられるものではなく、成果を出せると信頼されたときに成立する働き方だと感じています。逆に言えば、自走できる力をつければ、選択肢として手に入れやすくなります。

リモートで働きたいと考えている方は、まず所属企業がどういう案件を扱っているかを確認したうえで、リモートでも成果を出せる状態を作ることを考えてみてください。

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